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けがの治療

(からだとくらし 2013年6月号掲載)

 けがをしたらなるべく痛くないようにできるだけ早くできればきれいに治したい、治してほしいとだれでも思いますよね。外科外来でそんな治療をしています。みなさんはけがをしたら消毒してガーゼをあててと思っていませんか。それがあたりまえだと思っていませんか。なんであたりまえだと思っているんでしょうか? それは昔からやっていることだからです。でも昔からやっているから正しいというのは結構間違ってることが多いんです。実は傷に消毒、ガーゼをあてることは傷が治る、創傷治癒といいますが、このメカニズムを考えれば何の根拠もないことなんです。傷は消毒してはいけません。ガーゼもあててはいけません。
 ではどうやって傷を治すのでしょうか。それは人間がもっている傷を治す力をそのまま利用するのです。

人間がもっている傷を治す力とはどんなメカニズムなんでしょうか?

 もちろん人間だけにある力ではなく、動物はみんなその力をもっています。野生の動物がけがをした時、消毒してガーゼをあてていますか? そんな野生動物見たことないでしょ。結論から言えばけがはほっとけば治るんです。ただけがが治る過程でよりよく治るように助けてあげる、邪魔をしないであげるということが大切なんです。
 で、いったいどうすればよいのか。けがをすると傷がじゅくじゅくします。そのじゅくじゅくには傷を治す物質がいっぱいあるんです。それをガーゼでふきとって傷を乾燥させたらダメなんです。乾燥したらガーゼをはぐときも痛いです。けがを治す基本は傷をよく洗う、傷を乾燥させない、この2つなんです。けがをすると、ときどき傷が膿みます。傷が膿んだから消毒するとみんな思っているんじゃないですか。これは違うのです。傷が膿んでいるのは傷に異物があるからなのです。傷をしっかり洗うこと、水道水でいいのですよ。傷をしっかり洗って異物を除去することが化膿させない大事なことなんです。

消毒はばい菌を殺す。これは正しいのですが、消毒は正常な体の細胞まで殺してしまいます。

 死んだ細胞は生き返りません。傷を治す物質はその細胞からでてきます。消毒して細胞が死んだら傷はなかなか治りません。しかも消毒されると痛いじゃないですか。消毒されて泣く子もいますよね。
 傷を治そうと細胞が分泌した物質を傷の周囲にためたままにしておくと傷はものすごく早くしかも痛みがなくきれいに治るんです。この治療をうるおい治療とよんでいます。外科外来でこの治療をしています。傷が痛みなく早くきれいに治るのをみると、患者さんはもとよりわれわれですら、びっくりしています。

「因幡の白兎の伝説はキズ治療の最先端??」

皮膚・排泄ケア認定看護師  藤 田 麻衣子

1.はじめまして
 皮膚・排泄ケア認定看護師の藤田麻衣子です。「褥瘡(じょくそう)」いわゆる床ずれや、薄く弱くなった皮膚の健康を保つためのケアをしています。また、年齢を重ねていくと誰でも悩む尿漏れや便漏れ、手術で人工肛門を造った方のケアもしています。今回はキズについてお話をします。

2.キズ治療今昔物語
 日本神話に出てくる因幡の白兎のお話をご存知ですか?
 ワニを騙して毛皮を剥がれたウサギが「海水を浴びて風に当たると治る」と言われてキズがひどくなってしまい、それを見た大国主命が「真水で洗って蒲の穂綿に包まっていれば治る」と言った。その通りにしてみると元通りに治ったというお話です。
 この中の「海水」は今で言う消毒ですね。野間医師の記事にもあるように、キズの治療は日々変化しています。一昔前まで薬局にある絆創膏といえば、真ん中にガーゼの付いた広島弁でいう「サビオ」が主流で、毎日消毒をして絆創膏を貼りかえていました。今、薬局には「モイストヒーリング(潤いで治す方法)」「ハイドロコロイド」などと書かれた製品が多数並んでいます。キズをしっかり覆って張りっぱなし! 剥がした時にはキレイに治っている! そう! 今傷は、絆創膏でカサブタを作って、閉じ込めて治す事が常識になっています。

3.キズ治療の最先端
 私が日々ケアをしている床ずれやオムツかぶれを治す為には、薬や絆創膏、予防の為のマットレスもあります。中にはウジ虫にキズの中の悪い組織を食べてもらう治療法まであります! 最近の注目治療は、「陰圧閉鎖療法」と言われる治療です。キズを密閉し、吸引(吸盤などで吸い込んでいる状態)することで、治療に不要なものを吸収し、新しい細胞の再生を促進させる働きがあると言われ、当院でも積極的に導入をしています。

4.キズが出来る前に…
 床ずれは「予防の時代」と言われています。院内ではチームを組み、褥瘡予防活動をしています。私は看護師として、日頃から患者さんの肌に触れることが多いのですが、高齢の患者さんの皮膚は乾燥やむくみで、キズつきやすい状態です。健康な皮膚を作る基本は、女性のスキンケアと同じ「①洗浄②保湿③保護」です。冬は肌が乾燥しがちになるので、しっかりケアをしている方も多いかもしれませんが、夏も紫外線やクーラーの風で肌は乾燥しやすくなっていますので、ケアをしてキズに強い肌を作りましょう。