広島共立病院のプロフェッショナルたち

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最近の橈骨遠位端骨折の治療について

市川誠

整形外科部長
市川 誠 医師

はじめに
 橈骨遠位端骨折は転倒して手をついた際にしばしば遭遇する手首の骨折ですが、

近年のその治療法が画期的に向上した外傷の一つです。すなわち一九七〇年代まではギプス治療、

ギプス固定

一九八〇年代以降は鋼線などを用いた手術治療が行われるようになり、

そして二〇〇五年以降はロッキングプレートの出現により、その治療法が飛躍的に進歩しました。

橈骨遠位端骨折の発生率
 四〇歳未満では、男性の発生率が女性よりも一・四倍多いとされ、四〇歳以上では女性が男性より多くなり、女性の発生率は加齢に伴ってほぼ直線的に増加すると言われ、六〇歳以上の女性の一四・五%はその後の生涯のなかで本骨折を生じることが報告されていま

橈骨遠位端骨折の治療
 骨折部での転位(ズレ)が軽度の場合には従来通りギプス固定で治療するのが基本ですが、転位が大きい場合や関節に骨折が及んでいる場合には手術療法が行われます。そこで最近は、前述したようにロッキングプレートを用いた手術を行うことで治療成績が飛躍的に進歩しました。

ロッキングプレート

このプレートは従来のプレートと違ってプレートに挿入するスクリューがプレートと一体化するため、骨折部を強固に固定できるようになり、ギプス固定が一~二週くらいしか必要なく、術後早期から日常生活での手の使用や入浴も可能です。また、以前はかなり治療が困難であった関節が粉砕した骨折でもこのプレートで対応できるようになり、

このことが本骨折の治療が画期的に進歩した所以になっています。当院でも二〇〇五年よりロッキングプレートを導入し非常に良好な結果が得られています。

橈骨遠位端骨折の看護について

広島共立病院 5階病棟 看護師  杉 野 直 美

 当病棟に整形外科で入院される患者様は、ほとんどの方が手術を目的とされています。橈骨遠位端骨折では保存療法・手術療法により期間は異なりますが、どちらもギプス固定が必要になります。さらに、腫れを防ぐために、三角巾で手を吊った状態にします。
 手が使えないというのは、想像以上に不便なものです。まずは毎日欠かせない食事。指は動かせますが、固定している分、箸の操作やお椀を持つという細かい動作が難しくなります。利き手ならなおさらです。そこで、ご飯はおにぎりにしたり、おかずを一口サイズにしてスプーンやフォークで食べやすい工夫をしています。また、入浴許可がでたら、ギプスが濡れないように手をビニールで覆ってお風呂に入って頂きます。しかし、背中を擦る時、髪を洗う時、着替えの時など、普段両手で行っている動作を片手で行わなければなりません。難しい場合、看護師が介助に入りますが、更衣の順番等をアドバイスすることで退院後も困らないよう、出来るだけ自分で行えるように促していきます。
 最初は不便に感じる片手の生活も、ちょっとした工夫と毎日の動作によってだんだんと慣れ、退院する頃には出来る事が広がっている方が多くいらっしゃいます。

〝生活する手〟にするために

作業療法士  中 本 健 司

 橈骨遠位端骨折の手術後のリハビリテーションは、手術で整復した状態を保ったまま、関節の動きや筋力を衰えさせないように、また以前の状態に近づくまで動きを回復させ、〝生活する(生活できる)手〟にするために行います。患者様にとってこのリハビリテーションの時期は、自分の手をどのように使用して生活していくかを習得する時期となります。
 当院では手術後の経過に沿って第1期(固定期)第2期(ギプスや固定が取り外された時期)第3期(骨折が完治した時期)と3期間に分け、その時期に応じたリハビリテーションをすすめています。各時期での運動療法と医療用粘土やボール・ビー玉等の様々な道具を用いた作業活動を組み合わせ、実際の生活場面で必要な機能の獲得を目指した動作練習を行っていきます。
 しかし一番のリハビリは日常生活の中で、回復状況に応じて、無理のない範囲で手を使用していく事です。

(からだとくらし2013年10月号)