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現代の国民病”糖尿病患者2210万人”「教育入院」で自己管理

森下尚明

副院長(糖尿病内科)
森下 尚明 医師

 糖尿病は日本全国では、その予備軍の方も含めると約二二一〇万人の患者がいるとの報告もあり、現代の国民病とも言われています。しかし一方でこれほど誤解の多い病気もなく、まだまだ糖尿病に対する知識や理解は広まっていないのが現状です。そのため広島共立病院では、糖尿病についての理解を深めて、自己管理をしていけるように「糖尿病教育入院」を行っています。主に糖尿病と初めて診断された方や、外来通院されていてもなかなか血糖コントロールが良くならない方が対象になりますが、共立病院に通院されている方もいれば、他の医療機関に通院されていて、当院に紹介されて入院となる方もいらっしゃいます。

大切な食事療法
 入院されると入院時の諸検査を行いますが、アンケートの記入もして頂きます。年齢、性別や生活、労働など患者さんは各々異なった背景を持っておられるわけで、その患者様お一人お一人に対応した指導ができるようにするためのものです。また食事は糖尿病食となります。つまり食事療法の始まりです。糖尿病食というと、イメージが悪いかもわかりませんが、何よりも適正なエネルギー量で、かつバランスの良い健康食ですので、実際に食べて頂いて覚えてもらうことになります。他に血糖降下薬を内服して頂いたり、必要な時にはインスリン注射も始まって、血糖コントロールを行っていきます。
 平行して、一週間のスケジュールで行われる「糖尿病教室」に参加して頂きます。「糖尿病とは」から始まって、「検査の話」「薬の話」「食事療法」「合併症」「運動療法」「まとめ」まで、共立病院の医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士が各々の分野を担当して、講義をさせて頂きます。一度に参加される患者様は数人程度ですので、集団指導ではありますが、患者様それぞれにわかりやすく話ができるようにと心がけています。
 この教室が終了すると、患者様個別の問題点をスタッフのカンファレンスで話し合って、必要時には御家族にも食事療法の指導をさせて頂いたり、インスリンの必要な方には自己注射の指導や、血糖自己測定まで説明させて頂き、退院後は御自分でしっかりと療養ができるようにと援助させて頂きます。共立病院には十三名の糖尿病療養指導士がおり、教育入院を行っている五階病棟にも五名の療養指導士がいて、その中心となって活動しています。
 また、入院中には糖尿病の怖い合併症(神経障害や網膜症、腎症、及び動脈硬化性疾患)についても検査を行います。

一病息災が目標
 こうして約二週間の入院後に退院となりますが、私たちスタッフの願いは糖尿病患者さんが血糖コントロールも良好となり、合併症を起こすことなく、「一病息災」で過ごして頂くことに尽きます。そのためのより良いサポートができますように更に研鑽を積んでいきたいと考えています。

退院後の生活が大切です

広島共立病院 五階病棟 看護師

 糖尿病で一番恐ろしいのは合併症です。この合併症の出現を少しでも遅らせ、また進行を遅くするためにも必要なのが血糖コントロールです。糖尿病は入院中の治療はもちろんのこと、退院後の生活習慣も重要です。
 看護師は糖尿病教室最終日のまとめに〟めだまんず〝という目の模型を使いながら網膜症の話をしたり、フットケアの指導・実践を行っています。初めて糖尿病と言われた患者様からは「こんなにたくさん覚えられない」「習った通り家でできるか不安」という声をよく聞きます。私たちは「生活の中で何が問題なのか、どこなら直せそうか」と一つでも自分で目標が決められるよう、そして退院後も実践できるようサポートしていきます。
 また、インスリン療法が必要な患者様には自分でインスリン注射を打つ〟自己注射指導〝を行っていますが、医療関係者でない限り注射を打つということに抵抗があります。ましてや自分に針を刺すのですから、恐怖で手が震えてなかなか打てない患者様もいらっしゃいます。恐怖感を克服し自分で打てるようになるために、最初は模型を使い毎回看護師の見守りのもとで行ってもらい、手技に不安が残る方には家族にも協力を得て注射や低血糖時の対応について指導を行っています。皆さんが糖尿病と上手に付き合い、より良い生活を送れるよう、スタッフ全員でサポートさせていただければと思います。

糖尿病で教育入院を体験

長束在住  牛 尾 清 彦 さん (69歳)

 二〇一〇年五月、広島共立病院に十六日間の教育入院をしました。
 糖尿病と診断されたのは二十数年前です。それ以来、月一回検査しながら、お薬をもらっています。食事と運動を指導されましたが、続けることが難しく、血糖値は徐々に上昇していきました。ある日、「このままではインスリン療法の導入が必要です。共立病院に教育入院してください」と言われました。HbA1cが9.5%にまで上昇していたのです。(当時はJDS値)。
 入院初日に森下先生から説明があり、「検査や糖尿病に関する学習、食事・運動など療養の基本を学びましょう」と声をかけられました。入院生活は快適で、糖尿病に関する基本的な知識、療養上の注意点、合併症の怖さなどを学びました。入院して数日たった頃、森下先生がニコニコしながら「血糖の数値が改善していますよ」と告げられました。以後も毎日ベッドサイドに来られて声掛けしてくださいました。その後も、血糖値はみるみる改善していきました。退院時、「インスリンはしばらく見合わせましょう。今回の教育入院体験を今後の療養に生かしてください」と言われました。その後も、血糖値はなんとかコントロールが出来ている状態です。
 温和で、分かりやすくお話しいただく森下先生の指導に感謝しています。今は「元気に百歳」を目標に、先生と二人三脚で糖尿病と付き合っていきたいと思っています。

(からだとくらし2014年2月号)