心疾患予防と受診のすすめ

心疾患の死亡率は日本人の死因の第2位であり、特に急性心筋梗塞は今でも年間4万人弱の方が亡くなられています。発症してから治療を行うまで時間が経過するほど、予後も重篤になる傾向があり、まさに1分、1秒を争う病気です。原因としては高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙など、動脈硬化を進めてしまう病気が基礎疾患としてあり男性では40代から60歳代にかけて多く、女性の方は閉経で動脈硬化を予防する女性ホルモンが減少するため、閉経後から急に高血圧、高脂血症を発症し60代から80歳代に心筋梗塞を起こしやすくなります。 典型的な症状としては冷や汗を伴う締めつけられるような、あるいは圧迫されるような胸痛ですが、人によってはみぞおちの不快感や、左肩から顎にかけての痛み、吐き気だけの方もおられます。 症状の強さは人によって様々ですが、症状が軽くても実は重篤な心筋梗塞だったということはよくあり、前述のような持病をお持ちの方は症状が軽いからといって様子を見ずに、必ず病院を受診してください。また、約半数の方が前触れとなる症状がなく、突然心筋梗塞を発症してしまうのもこの病気の特徴です。患者さんにはよく心筋梗塞がおきる原因を川の流れに例えて説明しています。ゆるやかな川の流れが、すこし川幅が狭いところにさしかかると流れが速くなり、それにより川の土手が削られやすくなります。それと同じようなことが心臓の血管の中で起こっているとイメージしてください。心筋梗塞を起こしやすい方はコレステロールなどが沈着し、血管の壁はぼこぼこして、すこしもろくなっています。急に寒さが増した冬のある時期、寒暖の差や、喫煙により血管が収縮し、動脈硬化ですこしだけ細くなっている場所の血液の流れが速くなり、すこしずつ土手を削っていく。ある日突然土手が決壊し土砂崩れを起こし川の流れを堰き止めてしまう。そのようなことがみなさんの身体の中で起こっています。心筋梗塞を起こしてしまった場合は私たちの出番です。でも心筋梗塞を起こさないためにみなさまにもできることがあります。今一度ご自分の生活を見直し、高血圧やコレステロールを放置していないか、生活習慣がみだれてストレスの多い生活になっていないか、喫煙、そろそろやめてみないか、ぜひ振り返ってください。   (からだとくらし2017年2月号)
循環器内科
秦 亮嘉