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乳腺外科の外来で訴えの多いもの、自己チェックの方法について

はじめに
 乳がんについて取り上げられることが増えてきています。その一方で検診受診率は未だ十分ではなく、我々の意識の更なる向上が必要です。今回は、乳腺外科を受診する患者さんにどのような訴えが多いのか、いくつかご紹介します。

多い訴えと、考えられる疾患
①しこり:線維腺腫(良性)、のう胞(良性)、乳腺症(良性)、乳がん(悪性)、肋骨や乳腺組織をしこりと思っていた、等があります。患者さんの年代にもよりますが、自覚したら放っておかず、乳腺外科外来を受診することが重要です。
②痛み、張り、違和感:乳腺症(良性)、または生理的範囲内(生理周期に伴う乳腺の変化)の可能性が高いです。乳がん単独の症状として、痛みが密接に関わることは少ないと言われています。乳腺症の場合は生理前に強くなり、生理が始まると痛みが和らぐなどの周期性があることが特徴的です。ただ、痛いという症状だけで受診して乳がんが発見された方も少なくはありませんのでしっかり検査をしていく事が大切です。
③乳頭分泌物:透明なら乳管内乳頭腫(良性)、レンガ色や赤色系なら乳がん(悪性)が疑われます。
④検診で異常を指摘された:正常、良性の病態、乳がん(悪性)が疑われます。同様に画像検査から始めて精密検査の必要性を判断します。ちなみに乳がん検診は2年に1回でも、1年に1回でも受診した場合とほぼ同様の有効性が示されています。ただし、受診後でも、新たにしこりを触れた場合には、速やかに受診してください。また、マンモグラフィによる乳がん検診を受けると、通常、受診者1,000人中50人(5%)の方に精密検査が必要となります。さらに、精密検査を受けた50人の中で、乳がんと診断されるはおおよそ1~2人(2~4%)です。すなわち、受診者1,000人中1~2人の方が乳がんと診断されます。精密検査が必要とされた全てが乳がんではありませんが、50人に1~2人という確率はかなり高いものです。精密検査が必要と言われたら、必ず受診しましょう。

どういう検査をするか?
 まずは医師による視触診、マンモグラフィ(詳細は他掲載記事を参照ください)、乳房超音波検査が通常です。必要に応じて、更にMRI検査や、しこりから細胞を採る検査を行って顕微鏡レベルで病理診断を行います。画像の経過観察のみで様子をみることもあります。

自己チェック方法について

 図でお示ししたように、ご自分でチェックをして下さい。毎月1日など、決まった日に行うと忘れにくいでしょう。自己チェックに加え、定期的な乳がん検診を受けることが何よりも早期発見への近道です。痛い検査が待っているのではないか、癌が見つかってしまうのが怖い、など受診から遠ざかる不安な気持ちはよく聞かれます。それでも、どうか怖がらず、忙しいことを理由にせず、お近くの乳腺外科外来を受診してください。

より安全な検査が可能になります!~最新型の乳房撮影装置の導入~

広島共立病院 放射線科

 乳がんの早期発見に欠かせない検査の一つが、乳房撮影装置(マンモグラフィ)です。乳房はやわらかい組織でできているため、エネルギーの低いX線を出す乳房撮影装置が必要となります。
 新病院で新しく導入する乳房撮影装置は、X線被曝が少なく、高画質な画像を撮影することができます。また、今まではフィルム運用での読影・診察が行われていましたが、今回、高精細モニターを導入することにより、モニターでの読影診断が可能になります。それに伴い、過去の画像との比較や気になる場所の拡大などが容易に行えるようになり、より診断がしやすくなります。
 広島共立病院では、積極的に乳がん検診も行っており、毎年5,000人を超える方が乳房撮影検査(マンモグラフィ検査)を受けに来られました。乳がんの早期発見の為に、日々のセルフチェックや定期的な乳がん検診を、ぜひ受けましょう。