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心房細動といわれたら…

不整脈の一種で、自覚症状がないケースも
 私たちの心臓は筋肉でできたポンプで、血液を全身に送り出しています。心臓には右心房、左心房、右心室、左心室という4つの部屋があり、その働きは心臓の中を流れる電気信号によって調節されています。電気信号は、洞結節、房室結節という連結部分を通って心室全体に伝わっていきます。正常な場合、洞結節から出た電気信号は、波紋のように心房の中を広がっていきますが、心房細動が起こっている場合、複数の異常な信号が心房の中を不規則に走り回るような状態になります。この不規則な電気興奮が心室にも伝わり、心室での興奮も不規則になります。これが心房細動で、心電図をとると脈の乱れがはっきり分かります。
 心房細動は、急な胸痛や激しい動機が起こる発作性、体の不調が続き、受診して初めて指摘される持続性、自覚症状がなく、心電図で見つかる永続性の3タイプがあります。

心房細動が脳梗塞の引き金に?
 現在、心房細動の患者さんは増えており、その原因は高血圧や糖尿病、心不全などの生活習慣病、高齢化、ストレス、お酒の飲み過ぎなどが考えられます。
 心房細動が怖いのは、心臓内の血液によどみができ、血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが心臓を飛び出して脳にいくと、脳梗塞を起こしてしまうことです。心房細動による脳梗塞は半身麻痺や失語症などの重大な後遺症を残すことが多く、死に至ることもある怖い病気です。心房細動と診断されたら、まずは原因になっている病気の治療を優先します。そして、ワーファリンという薬で血液を固まりにくくし、脳硬塞を予防します。さらに正常な脈に戻す治療、正常な心拍数に戻す治療などから、症状に合せて投薬を中心に治療を行ないます。高度な治療として、カテーテルを使って不整脈の電気の流れを治す手術で「カテーテルアブレーション」があります。体への負担が少なく、成功率も高く、根治療法として注目されています。が、年齢や症状により必ずしも有効とは限らないので、医師としっかり相談してください。

内科部長
鷹屋 直