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股関節の痛みと治療

股関節の痛みの原因

 

 

 股関節は人間の関節の中で一番大きく、立ったり歩いたりする際に体を支えるとても重要なところです。太ももの骨である大腿骨の先端にボール状の形をした骨頭という部分があり、それが骨盤にあるお椀状の形をした寛骨臼(かんこつきゅう)という部分にはまり込むことで、回転するように動く構造になっています。

 通常の股関節は滑らかに動きますが、何らかの原因で炎症を起こしたり、変形してスムーズに動かなくなったりした時に起きるのが股関節痛です。

 原因は様々ありますが、放置しておくと進行する可能性もあるので、軽く考えず、気になったら早めに受診するようにしましょう。特に立ち上がる時や歩き始めに痛みを強く感じるようだと要注意です。また、可動域が狭くなり歩きにくくなった、関節が引っかかる感じがする、足の爪を切る時に姿勢を取りづらい、脚の長さが左右で違う、といったことも症状の一つです。

 

 

広島共立病院整形外科における股関節痛の診断と治療

 

「股関節痛疾患の主な種類」

 

 変形性股関節症

 

 股関節のクッションとなる軟骨が年齢とともに弾力性を失い、すり減って関節が変形することによって起こります。日本人の場合、元々あった股関節の異常(寛骨臼形成不全、先天性股関節脱臼、大腿骨頭すべり症、神経病性関節症など)が原因となる二次性股関節症が80%程度を占めていて、女性に多いことも特徴です。

 

リウマチ性股関節症

 

 リウマチは自己免疫疾患の一つで、何らかの原因で自分の免疫が自分の体を攻撃してしまう疾患です。このリウマチが股関節に炎症を起こし、軟骨や骨に変形を生じさせるのがリウマチ性股関節症です。

 

大腿骨頭壊死症

 

 血流の途絶により、大腿骨頭の一部が壊死(えし)する疾患で、壊死した部分が徐々に潰れていくことにより痛みが現れます。原因としては他の病気の治療によるステロイド薬の服用やアルコールの過剰摂取との関連が指摘されています。

 

急速破壊性股関節症

 

 「急速」とあるように、それまで特に異常のなかった股関節が、半年から1年ほどの間で急激に破壊が進む疾患です。はっきりとした原因は不明で、高齢の女性に多く見られる症例です。

 

「股関節痛の診断」

 

 股関節痛は基本的にレントゲン検査で概ね確定診断が可能ですが、場合によってはMRI検査やCT検査も併用します。痛みの原因が股関節ではなく、腰のヘルニアなど他の疾患のこともあるので、患者さんの症状を詳しくお聞きし、検査結果とあわせて総合的に判断します。

 

「股関節痛の治療」

 

 股関節痛の治療は、大きく保存療法と手術療法に分かれます。保存療法としては、薬で痛みをコントロールする薬物療法、リハビリテーションなどで筋肉を強化する運動療法などがありますが、いずれも骨の変形や痛みがそれほどでもない場合や患者さんの希望で手術を避けたい場合に用います。

 症状がある程度進行した場合は手術療法が選択されます。手術療法には骨切り術や人工股関節置換術などがあり、どの手術を選択するかは、疾患の種類や症状の進行度、患者さんの年齢などによって変わってきます。

安全かつ緻密な手術の実施を日々心がけています

 

人工股関節置換術

 

 傷んでしまった寛骨臼と大腿骨頭の部分を人工のもの(インプラント)に置き換える手術です。効果は非常に高く、多くの患者さんが痛みから解放されて、通常の日常生活に戻っていきます。最近はインプラントの材質も改良が進んでおり、耐用年数は30~40年とされていますので、将来的な不安も少ない治療法です。

 

「広島共立病院整形外科の人工股関節置換術」

 

 より正確なインプラント設置

 

 人工股関節置換術で重要なのは、理想的な位置、角度にインプラントを設置することです。ここにズレがあると、脱臼やインプラントの早期摩耗など術後のトラブルにつながります。基本として手術中は常に透視装置で確認しながら進めますが、広島共立病院の整形外科では、さらにAR(拡張現実)を使ったナビゲーションシステムを併用して、より正確なインプラントの設置を行っています。また、手術前にもCT画像上で作図を行う「3Dテンプレーティング」という方法で、厳密な手術計画を作成しています。他にも、脱臼のリスクを減らすことのできる「仰臥位前外側アプローチ」と呼ばれる股関節を前方から展開する手術方法を積極的に用いるなど、術後の経過を可能な限り良好にするための様々な技術を導入していますので、安心して手術を受けていただけます。

 

傷跡の目立ちにくい手術法

 

 人工股関節置換術を受ける患者さんは女性が多いため、術後の傷跡がなるべく目立たないようにすることも重要です。そこで、皮膚にある細かいしわに沿って切開する「ビキニ皮切」を積極的に採用し、できるだけ傷跡が目立たないようにする努力を行っています。

Screenshot
広島共立病院 整形外科 医長 
濱西 道雄