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『終末期せん妄』について知っていますか?

『終末期せん妄』について知っていますか?

 

せん妄(もう)は、脱水、感染、貧血、薬物など身体に何らかの異常や薬剤を原因として急性に起こる意識障害であり、例えば朦朧 (もうろう)としていて話のつじつまが合わない、怒りっぽくなり興奮するなどがみられます。終末期がん患者さんの30~40%に見られる症状であり、看取りの時期には患者さんの90%に見られ、 ほとんどの患者さんが経験すると言われています。一般的にせん妄は、身体の症状の一つであり「気持ちのもちよう」や心の問題ではありません。適切な治療を行えば半数以上の患者さんで症状が改善すると言われています。せん妄は身体への負担を原因とした脳の機能の乱れであるため、原因を取り除くための治療や安心できるように環境整備を併せていくことで改善することができます。入院中は、家から使い慣れたものや好きなものを持参し、家で生活している時と同じような安心できる空間づくりも大切です。しかし終末期のせん妄は、複数の原因が関与しており、発症予測が困難であり完全には回復できない症状です。また看取りが近い可能性があり、鎮静剤を必要とすることもあります。終末期のせん妄と判断した場合でも、早期に発見し可能な限り原因を除去することで重篤化を防ぐことができ、残された大切な時間を少しでも穏やかに過ごすことが可能となります。

 

「好きなもの」「家でいつも見ているもの」を身近に

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緩和ケア認定看護師
伊東 哲朗