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改めて糖尿病を知ろう

生涯付きまとう糖尿病 最も怖いのは合併症!
現代の「国民病」といわれる糖尿病。ひとたび発症すると治癒することはなく、神経障害・網膜症・腎症などの合併症をひき起こします。「国民病」といわれるゆえんは、その患者数の多さ。予備軍を含めると約2,000万人で、2012年の2,050万人からは減少傾向にありますが、依然、40歳以上では3人に1人です。
合併症のなかでも問題視されているのが、糖尿病腎症。2型糖尿病患者のなかの42%に合併し、透析導入患者は1年間で1万6,000人にも上ります。透析は週に3回・約3時間、腎臓を移植しない限り一生続けなければなりません。このほかにも、心疾患や脳血管疾患になるリスクは約3倍、認知症になるリスクは2.2倍と高く、認知症になると糖尿病が悪化しやすいというデータも。血糖値が高い状態が続くことで、全身の血管や神経に障害を起こし、さまざまな合併症をひき起こすのです。

 

最新の治療薬と持続血糖モニターで血糖コントロールがスムーズに
日本の糖尿病を取り巻く環境は大きく変化しており、2009 年から次々と新しい薬が登場しています。これにより、インスリン治療ではなく飲み薬で安全に、血糖コントロールがしやすくなりました。また、身体にかざすだけで血糖値が測定できる 「持続血糖モニター」も。いつでもすぐに測ることができ、記録もできるので、血糖コントロールへの意識を高く持つことができるようになりました。
診療ガイドラインも改訂されています。体重の目安について、従来まではBMI22を基準とした「標準体重」を一律に用いてましたが、2019年には、総死亡の最も低いBMIをもとにして、年齢に応じて算出する「目標体重」へと変更されています。

【目標体重(kg)の目安】 総死亡が最も低いBMIは年齢によって異なり、 一定の幅があることを考慮し、以下の式から算出する。
65歳未満:[身長(m)]²×22
65歳から74歳:[身長(m)]²×22~25
75歳以上:[身長(m)]²×22~25 (※)
(※)75歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、 フレイル、(基本的) ADL低下、併発症、体組成、身長の短縮、摂食状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する

 

糖尿病の予防が第一! 日常生活の見直しを
治療の進歩や健康意識の高まりなどにより、糖尿病患者の平均寿命は年々伸びています。糖尿病ではない人との平均寿命の差は、1991年~2000年の調査では女性13歳、男性9.6 歳だったのが、2001年~2010年には女性11.2歳、男性8.2歳。以前よりも差は少なくなってきていますが、糖尿病が「万病の元」であることには変わりません。日頃から運動と健康的な食事を心がけ、予防することが最も大切です。

morishita
副院長 糖尿病内科
森下 尚明 医師