誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアが重要
歯および口の中の衛生状態を改善するためのケアを「口腔ケア」と言います。広い意味では、義歯の手入れや簡単な治療、さらに摂食・嚥下(えんげ)の領域も含まれます。
最近、口腔ケアの重要性が介護の現場で注目されています。死因の1位はがんで、2位が心疾患、肺炎はこの間で4位から3位に増加しています。この肺炎が問題なのです。肺炎で死亡する9割以上が後期高齢者で、90歳以上の死亡原因では2位になっています。その原因には、口の中の唾液や細菌が誤って気道に入り込んで起きる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」が挙げられます。
食べ物や飲み物を飲み込む動作を「嚥下」と言い、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」と呼びます。嚥下障害により、食べたものが食道ではなく気管に入ったり、胃の中の物が嘔吐などによって逆流し、胃液と共に気管に入ったりすることを「誤嚥」と言います。
誤嚥性肺炎を防ぐためにも、毎日の口腔ケアと食事中の誤嚥防止が重要になってくるのです。
口腔ケアをすることで生きる喜びに繋がる
口腔ケアには、歯科医や歯科衛生士など専門家によるプロフェッショナルケアと、本人、家族、介護者によるセルフケアがあります。家庭でできるセルフケアは、適切な歯ブラシを使って、できれば毎食後、すみずみまできれいに磨くこと。口腔体操などのリハビリをして、摂食・嚥下がスムーズに行えるようにすることなどが挙げられます。さらに、歯科で定期的に口腔チェックを受けて、専門的な口腔清掃や治療を行うプロフェッショナルケアも必要です。
口腔ケアをすることで食事がおいしく食べられると、栄養状態が良くなり、口から食べることが生きる喜びに繋がります。また、介護を受けている人の場合、QOL(生活の質)が向上し、生きる意欲や生活環境が改善されます。
口腔ケアを怠って歯を失うと、肺炎もそうですが、認知症や老化、寿命にまで影響するという報告もあります。口腔ケアがきちんとできているかどうかが、健康に大きく影響するのです。
コープ共立歯科では、歯科医師6名、歯科衛生士13名のサポート体制で口腔ケアに取り組み、月曜日~金曜日まで、歯科訪問診療を行っています。