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避難所での健康管理

広島共立病院 院長 村田 裕

最近は全国各地で地震や風水害による被害が頻発しており、いつ災害が起きてもおかしくない状況です。その時になって慌てないよう準備をしておき、避難指示があれば速やかに避難しましょう。災害発生時に直接負傷がなくても、その後に体調を崩されてしまう方も多く、避難後の健康管理が重要です。

感染症予防
避難所における病気の予防の基本は手指衛生です。避難所では、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行しやすくなります。石鹸と流水でしっかり手を洗うのがベストですが、水が不足している場合には、汚れを落とした後に手指消毒用アルコール液で消毒しましょう。手指消毒用アルコール液は避難所には配備されています。避難所に出入りする前、食事の前後、トイレの後など、こまめに手指を消毒しましょう。また、ご自身に咳やくしゃみが出る場合やインフルエンザ流行期であればマスクをするようにしましょう。そして、夏季には食品が痛みやすくなります。支給された弁当は、食中毒予防のために食べ残しは処分しましょう。

口腔ケア
次に忘れてはいけないのが歯磨きです。ついおろそかになりがちですが、口腔内は細菌が繁殖しやすく肺炎などの病気の原因になります。歯ブラシと水があればベストですが、そろわないことがあります。洗口液(マウスウオッシュ)が避難所で支給されていれば積極的に活用しましょう。これらがない場合でも食後には、少量の水でうがいをしてティッシュペーパーなどで歯をこすって汚れを落とすことも有効です。ガムがあれば噛んでおきましょう。

熱中症予防
夏場には熱中症や脱水症が起こりやすくなります。炎天下で作業をされる場合に起こり易く、室内でも冷房環境が整備されていないと起こり得ます。熱中症の予防は体の冷却と水分・塩分の補給です。スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少なめですが、「経口補水液」というものは糖分が少なく、塩分が多い組成になっていますので脱水の予防と治療に最適です。避難所によっては支給されています。トイレに行くのが不便なので水分を控える方がおられますが、水を飲む方を優先して下さい。

肺血栓塞栓症予防
次に知っておいていただきたいのが、エコノミークラス症候群、すなわち肺血栓塞栓症の予防です。この病気は、ふくらはぎの奥にある太い静脈の流れがとどこおることにより血栓が生じ、それがはがれて肺の動脈につまってしまう病気です。急に呼吸困難を生じ、最悪の場合には突然死する怖いものです。予防には、しっかり足を動かすこと(図参照)と水分をしっかり補給することが大切です。長時間の正座や車中泊は避けましょう。どうしても車中泊される場合は、足が伸ばせる体制を確保してください。

フレイル予防
肺血栓塞栓症の予防に限らず、じっとしていることは筋力、体力の低下を招き、特に高齢の方では、持病の悪化や肺炎などを起こしやすくなります。避難所での体操行事などにも参加し、できるだけ体を動かしましょう。

環境整備・専門家の活用
この他、床への直寝は避けてダンボールベッドを活用すること、一人当たり3.5㎡(畳2畳分)のスペースを確保すること(写真参照)などが健康を保つ上で重要です。限られた条件の中ですが、順次環境整備に協力して下さい。また、避難所には保健師や医療救護班が巡回してきますので、健康に関することは我慢せずに相談してみて下さい。
最後になりますが、非常持ち出し袋にいつも飲んでいる薬や歯ブラシを入れ忘れないようにお願いいたします。

予防のための足の運動(厚生労働省ホームページ)


避難所に整備された区画整理とダンボールベッド(南阿蘇村白水中学校 2016年5月3日)