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増えてます!大腸がん

 

 

「大腸がん」とはどんな病気?
 大腸は消化管(食べた物が排出されるまでの通路)の後ろの方にある1.5メートル程の器官で、小腸を通って栄養を吸収された後の食べ物の残りから水分を吸収する役割を持っています。この大腸にできるがんが大腸がんと呼ばれ、統計によれば罹患数で1位、死亡数では2位という、日本でも増加傾向のがんとして知られています。大腸がんは、ある程度進行するまで症状が現れず見つかりにくいがんですが、適切に治療をすれば治しやすいがんでもあります。

 

大腸がんを予防しましょう!
 大腸がん自体に痛みはなく、主な自覚症状は便秘や血便、それに体重や食欲の減少などですが、それらが現れた時には、すでにある程度がんは進行しています。そうなると何より大切なのは、普段から大腸がんになりにくい生活を心がけることでしょう。近年、日本で大腸がんの患者さんが増えている要因として、食生活の欧米化が指摘されています。具体的には動物性たんぱく質や脂肪の摂り過ぎがリスクとして挙げられます。右のリストで当てはまる項目の多い方は、野菜や果物など食物繊維の豊富な食材を積極的に食べるようにし、腸内のバランスを整えることを始めてみてはいかがでしょう。また、適度な運動を習慣づけ、健康診断も定期的に受診するようにしてください。

 

早期に発見して治療を
 治療として粘膜内に留まった早期癌であれば内視鏡的切除でほぼ100%治りますが、早期癌でも粘膜筋板を超えて進展したものは10%程度リンパ節転移や再発の可能性があり外科的治療が必要となります。外科的手術では腫瘍の部位から5~10㎝離れたところで腸を切除し所属リンパ節を一緒に切除します。直腸癌で肛門に非常に近い部位に癌ができた場合には人工肛門が必要となる場合がありますが、技術の進歩により人工肛門の頻度は少なくなっています。進行度別の5年生存率は概ねステージ0 : 100%、ステージ1 : 98%、ステージ2 : 90%、ステージ3 : 70%、ステージ4 : 15%で、早い時期に癌が見つかれば治る可能性は高く、症状のない早期の状態で癌を見つけて治療することが大切です。

広島共立病院の大腸がん治療

【検査】

大腸がんかどうかを検査します
 健康診断の便潜血検査で陽性が出たり、血便や貧血など何かしらの自覚症状があったりして大腸がんが疑われる場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。ある程度以上の大腸がんがあれば、この検査でほぼ見つけることができます。また、腫瘍マーカー検査や転移が疑われる場合はCT検査などもあわせて実施し、それらの結果をもとに正確に診断します。血便の症状は痔と間違いやすく、そのままにしておいてがんが進行してしまう例もありますので、気づいたら早めの検査が大切です。

 

【内視鏡的治療】

見つかった大腸がんが小さい場合
 大腸内視鏡検査で異常が見つかった場合、そのがんがまだ早期のものであったり、小さなポリープ(良性の腫瘍)だったりしたら、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。内視鏡の先端から器具を出し、それを使ってがんを大腸の内壁粘膜から取り除く治療法で、がんがまだ粘膜の浅いところに止まっていて、リンパ節への転移の可能性がほぼない場合に選択します。EMRやESDは外科手術よりも体への負担が少なく、何日も入院する必要がありません。

 

【外科的治療】

ある程度進行した大腸がんの場合
 ある程度以上進行した大腸がんはリンパ節転移の可能性もあるため、がんのある部位を大きく切除する手術を行います。具体的には、がんのある箇所の大腸そのものを周囲のリンパ節ごと切り取り、その後残った腸管同士を繋ぎ合わせます。手術と言ってもお腹を切って開く開腹手術ではなく、広島共立病院では大腸がん手術のほとんどを体への負担が少ない腹腔鏡手術で行っています。腹腔鏡手術とは、腹部またはお腹に小さな穴を開け、そこから必要な器具を入れて行う手術です。お腹を切り開く手術と比べると、患者さんに大きな傷をつけることがないので出血が少なく、また術後の痛みが軽く治りも早いという利点があります。現在では技術の進歩によって、様々な病気に対して広く行われるようになってきています。大腸がん手術の場合、1~2cmの穴を5箇所ほど開けます。そこから炭酸ガスを注入してお腹をふくらませ、穴から入れた腹腔鏡(カメラ)が写した映像をモニターで見ながら、鉗子などの器具を操作します。平均的な手術時間は4~5時間程度となっていますが、がんのある場所によってはもっと時間のかかる場合もあります。患者さんにとってメリットの多い腹腔鏡手術ですが、医師が自分の目や手で直接患部を見たり触ったりする手術とは違い、特別な技術が必要です。広島共立病院では豊富な経験と技術を備えた医師が万全な状態で臨んでいますので、安心して手術を受けていただけます。 また、がんの進行度や部位などの要因によって手術が難しい場合には、抗がん剤治療という選択肢もあります。大腸がんは比較的抗がん剤が効きやすいがんなので、まずは抗がん剤でがんを小さくし、その後に手術で切除するという治療法をとることもあります。いずれにしても治療方針については、多くの専門職が意見を出し合ってあらゆる角度から最適な方法を検討します。さらに、きちんと患者さんやご家族にも説明をして、納得をしていただいた上で決定していきますので、不明な点はなんでもお尋ねください。

 

平野先生
外科医師
平野 利典