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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を積極的に受けましょう

「大腸内視鏡検査でわかること」
 大腸内視鏡検査は大腸カメラとも呼ばれ、大腸に内視鏡を入れて、大腸内の様子を画像で見る検査です。この検査は主に大腸がん発見のために行います。大腸がんは、ある程度進行するまで症状が現れず、見つかりにくいがんで、近年では増加傾向のがんとして知られています。しかし大腸内視鏡検査を受ければほぼ確実に発見することができ、さらに早期に適切な治療をすれば治しやすいがんでもあります。毎年便潜血検査をして、陽性が出た時は、できるだけ速やかに受診しましょう。

 

 

これからの安心のためにも
 

 大腸内視鏡検査を受ける対象となるのは、健康診断の便潜血検査で陽性となった方や、血便や便秘、下痢などの自覚症状がある方です。しかし便潜血検査で陽性となっても、痔であると自己判断したり、検査そのものが面倒で受けない方も多くいらっしゃいます。

 大腸がんは自覚症状が出るのが遅く、気づいた時には外科的治療(手術)が必要になることが多い反面、早期に発見できれば負担も少なく効果的に治療することができます。また、がんではなくとも、将来的に大きくなる可能性のあるポリープが見つかれば、内視鏡的に切除することもできます。

 「内視鏡」と聞くとハードルの高い検査だと感じるかも知れませんが、そのメリットは大きいので、対象となった方はぜひ積極的に受けるようにしてください。

 

広島共立病院の大腸がん治療

【検査前の準備】

 

ご自宅での準備
 大腸内視鏡検査は大腸の中にカメラを入れるので、腸に内容物(便)がある状態では検査を行えません。そのため、検査前日の夕食後から下剤を飲んでもらい、少しずつ腸の中をきれいにしていきます。当日の朝食も控えてご来院ください。

 

病院での準備
 病院にご来院いただいた後にも液体の下剤を飲みます。約1リットルを4~5回に分けて飲み、腸の中を全部きれいに出してしまいます。便が残っていないことが確認できるまでが前処置で、だいたい2~3時間かかります。

 

【検査】

内視鏡を大腸へ
 検査は内視鏡センターで行います。大腸内視鏡を肛門から大腸に入れるのですが、鎮静剤や鎮痛剤を必要に応じて使いながら、なるべく苦痛の少ない状態にして検査を進めます。

 

 

内視鏡センターの検査室(左)、検査は医師と看護師の2名で行います

 

 大腸は1.5メートルほどの長さがあり、まずは内視鏡を一番奥まで入れます。内視鏡は医師による手元の操作で自由自在に曲げることができるようになっているので、管の曲がりに合わせてスムーズに進めることができます。その後、ゆっくりと抜きながら腸の内壁を丁寧に観察します。内視鏡先端にはライトが付いており、モニターに映される画像は鮮明です。

 何も問題がなければ、検査は20~30分で終わります。

 

 大腸内視鏡の操作部   大腸内視鏡の先端

 

【内科的治療】

検査時
 検査の際にポリープが見つかった場合、その大きさによっては検査時に切除してしまうことも可能です。ポリープは小さければ、すぐ問題になるようなことはありませんが、将来的に大きくなる可能性はあり、またある程度以上の大きさになるとがんに変わるリスクも高まるため、小さいうちに切除してしまった方がいいことが多いのです。

 おおむね6ミリ未満のポリープは検査時に切除できます。切除は内視鏡を用いて行い、痛みを感じることはありません。切除するポリープの数にもよりますが、検査を含めても1時間以内で終わることが多いです。

 

入院治療
 ポリープの大きさが6ミリを超えるものであれば、安全のためあらためて入院治療を行います。入院といっても一泊二日で、治療は検査と同様に内視鏡を使って行うので、外科手術ほどの負担はありません。

 流れとしては、朝11時に入院。検査の時と同様に下剤を使って大腸を空にして、内視鏡による切除、そして一晩入院した後、朝食を摂って何も問題がなければ10時に退院することができます。

 ポリープの切除は、内視鏡の先端から生理食塩水とインジゴカルミンを注射してふくらませ、そこにワイヤーをかけて熱で焼き切ることで行います。内視鏡で切除できるポリープの対象は増えてきており、現在では20ミリのサイズでも対応できるようになってきました。

 

【大腸内視鏡検査の重要性】

 ポリープが大きくなってがんになってしまうと、外科手術や抗がん剤治療を受ける必要があり、身体的・時間的・経済的に様々な負担が増えてきます。そのためにも早い段階で異常を見つけ、早期に治療することが大切なのです。近年増えているがんだからこそ、対象となった方は、ぜひ積極的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

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消化器内科医長
久保田 洋平