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肺がんについて正しく知りましょう

早期発見・早期治療、禁煙が大切

 

 

 肺がんはがんの中でも死亡率の高いがんで、罹患数も増え続けています。原因としてはやはり煙草の影響が指摘されており、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんになりやすいだけでなく、より悪性度が高くなるというリスクもあります。肺がんの予防には禁煙が何より大切です。

 死亡率が高い理由は、一つには肺そのものは痛みを感じないため、自覚症状がないまま進行してしまい、がんだと分かった時にはかなり進行している場合があることが挙げられます。

 また、肺は全身の血液が集まる臓器であり、リンパ管も多く近接していることから、がんができると比較的転移しやすいのも怖いところです。転移先で多いのは、脳や骨、副腎などです。

 そのため、できるだけ早期に発見して治療を始めることが重要です。特にヘビースモーカーの方はレントゲンだけでなく、定期的なCT検査を受けましょう。

 

 

 

 

広島共立病院呼吸器外科における肺がんの診断と治療

 

「肺がんの診断」

 

 自覚症状の少ない肺がんは、健康診断に加え、他の疾患で医療機関を受診した際のCT検査などが、見つかる主なきっかけとなっています。

 疑いがあれば様々な検査を組み合わせることによって確定 診断を行い、治療方針を決定する材料とします。

 

CT検査

 

 CTはX線を当てることによって人間の体を輪切り状に画像化する装置です。通常のレントゲン写真よりも情報量が多く、状態をより細かく確認できる利点があります。

 CT画像でしこり状のものが写ったとしても、直ちにそれが治療の必要ながんであるとは限りません。しこり(腫瘍)には良性と悪性がありますし、単なる炎症の場合もあります。そこで2~3ヶ月後にもう一度CT検査を行い、その変化によって治療をするか、様子を見るか判断することもあります。

 がんの治療は身体的にも経済的にも負担になりますので、しなくても良い治療を無理して行わないという考え方です。

 

 左写真の赤丸内のもやもやした淡い影は「すりガラス陰影」と呼ばれ、たとえがんであったとしても転移の可能性が低いため、数カ月から数年間、治療を行わずに経過観察する場合があります。

 一方、右写真のようにくっきりとした影は転移の可能性が高く、なるべく早めの診断と治療が必要です。

 

生検・病理診断

 

 CTによって肺がんの疑いが濃くなれば、確定診断に移ります。主に行うのは気管支鏡検査と呼ばれるもので、細い内視鏡を口や鼻から気管支に入れ、がんの疑いのある場所の組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べることによって診断します。

 ただし、採取する場所が肺の入口付近であれば内視鏡が 届きますが、それより奥になると気管支も細くなるので、X線画像を見ながら、より細い器具を伸ばして採取したり、それでも難しい場所の場合は、CTガイド下肺針生検という、体外から針を刺して組織を採取する方法も検討されます。

 肺がんであるかどうか の診断だけでなく、治療方針を決定するために遺伝子検査なども行うことがあり、十分な量の組織を採取することが必要です。

 

 

 

「肺がんのステージと治療方針」

 

 肺がんの治療方針は、そのステージ(病期・進行度)によって決定します。ステージはがんの大きさや転移など複数の因子から総合的に決められ、Ⅰ期~Ⅳ期に分けられます。そのた めに、PET(Positron Emission Tomography・がんの有無や転移などを調べる検査)や頭部MRIなど様々な検査によって全身評価を行います。

 

 

「肺がんの外科的治療」

 

手術

 

 ステージがⅢ期(切除不能)とⅣ期は内科的治療のみとなりますが、それ以外であれば手術による外科的治療を行います。手術はがんの部位や大きさ、組織への浸潤度によって「部分切除」「区域切除」「肺葉切除」「全摘」のどれかを選択します。これまでは再発を防ぐために大きく切除する傾向があり、肺葉切除が基本とされてきましたが、最近の臨床試験ではより小さく切り取る区域切除の生存期間が延びており、標準治療として位置付けられるようになりました。

 さらに今では、身体的負担の少ない胸腔鏡を使った手術が主になっており、概ね1週間ほどで退院、1ヶ月ほどで日常生活に復帰できる方が大半です。日本は肺がん手術のレベルが非常に高く、世界的に見ても手術のリスクは低いと言えます。

 

 

「広島共立病院呼吸器外科の特徴」

 

 手術が無事終わっても術後治療が続きますし、定期的な検査も必要です。肺がんは複雑な病気で、治療の選択肢は様々です。広島共立病院の呼吸器外科では広島大学病院の専門医が診療を担当しており、そのネットワークを活かしながら、がんの状態や患者さんの希望に合わせて多くの選択肢を提示することができます。場合によっては経済的負担が軽く最新の 治療を受けられる治験などを紹介できることもあるので、不安な点はなんでもご相談ください。

 

「広島共立病院 呼吸器外科 肺がん治療の特徴」

  • 手術までの待機時間が短い
  • 地域包括ケア病棟があり、入院期間が延びても安心
  • 幅広いネットワークで治療の選択肢が豊富

 

Screenshot
広島共立病院 呼吸器外科/広島大学病院 呼吸器外科  医師
坪川 典史